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2014.07.25

第3回 新女王のスピーチ 

7月9日、女王就位式が行われました。と言ってもイギリスの話ではなく、れっきとした将棋界の話。マイナビ女子オープンのチャンピオンには「女王」の称号が贈られるのです。昨年度の女王である里見香奈さんを破り、新女王の座に就いたのは弱冠19歳の加藤桃子さん。

野田澤彩乃女流1級(右)、伊藤明日香女流初段(中央)と談笑

 加藤女王を一言で言い表すならば、ほがらか。常に笑顔を絶やしません。写真にもそれがよく表れているのではと思います。
 そんな加藤女王は、女流棋士ではありません。彼女は奨励会員として、プロ棋士と認められる四段を目指して、男性会員に交じって戦っています。1級時代が長かった彼女ですが、女王を獲得した翌日についに初段入品※を決め、これから巻き返しなるかといったところです。


 就位式当日、僕が密かに注目していたのは、加藤女王のスピーチ。先程書いたように、彼女はまだ19歳。世間では大学に入ったばかりという年齢です。さらに僕の知る限りでは、彼女は何でもそつなくこなせるような器用な方ではありません。平たく言えば、スピーチが得意なタイプではないのです。

謝辞を述べる加藤女王。少し緊張気味?

 そんな彼女がちゃんとスピーチができるのか。失礼ながらそんなことを考えながらカメラを構えていたのですが、いざ始まってみると、それが思い過ごしであることが分かりました。
 これは相当準備してきたな、というのが僕の印象でした。加藤女王のスピーチは今回の番勝負を一局ずつ振り返りながら、各対局の関係者に対する感謝の言葉を述べるという形でした。必然的にスピーチはかなりの長さになります。加藤女王もさすがにいつもの笑顔はなく、緊張した様子。途中言葉に詰まる場面もありました。しかし、5分程のスピーチを彼女は立派にやりとげました。


「この度は女王獲得おめでとうございます」
 式の後加藤女王に声をかけてみました。ありがとうございます、と答える彼女は、すっかりいつも通りの笑顔。そこで僕は、気になっていたことを聞いてみました。
「スピーチの準備はどのくらいしたのですか?」
 勝負の世界で努力の程度を聞くときは慎重にならなければなりませんが、これは別に勝負とは関係ないので許されるのではないか。でも、やっぱり上手くごまかされてしまうだろうな……。
 そんな僕の考えを吹き飛ばすかのように、加藤女王の回答は明快そのものでした。 「2日前から準備をしておりました。本当は、他の皆様のように、自然と言葉が出てくるようなスピーチをしたいなと思っていますが、それがなかなか難しいですね……」
 いかがですか。ここまで真っ直ぐな答えが返ってくると思っていなかった僕は、少し驚いてしまいました。本当は、もう少し器用に本音を隠した方が勝負にはプラスなのかもしれません。しかし、この真っ直ぐさも彼女の魅力の一つなのでしょう。今後の加藤女王の女流棋戦や奨励会での戦いぶりに注目したいところです。  

加藤桃子女王の謝辞の全文は、マイナビ女子オープン特設ページにて見ることができます。

※入品とは 1級から初段にあがること。


 当コラムは、二週に一度のペースで更新していく予定です。

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