第63期王将戦七番勝負渡辺明王将対羽生善治三冠第2局

 第63期王将戦七番勝負第2局は1月23、24日に栃木県大田原市「ホテル花月」にて行われた。羽生三冠の先手となった本局は、初手▲2六歩から両者の対戦では非常に珍しい相掛かりの将棋となった。相掛かりは他の相居飛車の戦型と比べて定跡が整備されていない部分も多く、序盤から神経を使う将棋に。互いの飛車先交換後、渡辺王将は22手目に△8五飛車と中段飛車に構え、以下右銀を前に繰り出してと後手番ながら積極的な姿勢。対する羽生も右銀を素早く繰り出し序盤で1歩得を果たしてと、互いに玉の囲いよりも攻めに重点を置く展開となった。
 封じ手となった39手目▲6六歩のあたりでは先手の手が広く難しいところだったが、羽生は一貫して駒を前線に繰り出していく。以下、得した1歩を渡して角道を開け、更には45手目▲7七桂と守りの桂も繰り出していったが、結果的にこの桂跳ねで先手の角が使いにくくなり、先手がまとめにくい将棋となってしまった。53手目▲7五歩に対する△3三角が鋭い切り返しではっきりと渡辺ペースとなり、以降は渡辺が一方的に攻める展開に。86手目△6三金が先手玉の上部脱出を防ぐ力強い金上がりで大勢がほぼ決した。最後は渡辺が先手玉を即詰みに討ち取り、114手にて勝利。開幕2連勝で防衛へ大きく前進した。

 この模様は、第1局の立会いを務めた田中寅彦九段が出演する徹底解説番組 「第63期王将戦七番勝負」にて2月19日(水)午後10時~より放送。

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