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2016.5.13

第27回 棋士と50m走

 棋士というのは畳の上に一日中座っていて、一切動きがない職業。スポーツなどもってのほかで、駒より重いものは持ったことがない。そこまで思っている方はさすがにいないでしょうが、棋士とスポーツがいまいち結びつかないというのも自然なことでしょう。
 実は、棋士の中にもスポーツ好きがいないわけではないのです。例えば将棋連盟には野球部やフットサル部がありますし、関西の稲葉八段はスポーツマンとして有名です。とはいえ、一般的な棋士(という表現は変かもしれませんが)の運動神経はどのようなものなのでしょうか?この疑問に答えるべく、一つの企画が立ち上がりました。
 4月14日、曇り。場所は都内某所の陸上競技場。企画の内容は走力テスト。シンプルに50mを走り、そのタイムを測定していくというものです。集まったのは若手棋士14名。皆さん気合十分の運動着姿……のはずが、一人だけジャケットに革靴と重装備の金井六段。「みなさんずいぶん荷物が多いと思っていたら、運動着だったんですね」と、コメントも見方によっては余裕綽々といったところでしょうか。
 さて、レースの様子を少し覗いてみましょう。最初の組は、長岡五段・髙﨑六段・門倉四段。初めて使用するスターティングブロックをあれこれ動かし、試行錯誤する三選手。中村(真)女流三段の合図により、一斉にスタート。三者とも意外と(?)速く、選手を追うカメラマンも慌てるほどです。しかし40mを過ぎたあたりで、門倉選手が転倒するアクシデントが発生。そんなことは関係ないとばかりに激走する長岡選手と髙﨑選手。結局そのまま前後してゴールイン。 そして気になるタイムは二人とも7秒中盤。特別に速いという訳でもありませんが、決して遅くもないタイムです。惜しくも転倒となった門倉選手は「髙﨑さんが予想外に速かったので動揺して足がもつれた」と責任転嫁にも見える(?)敗戦の弁。転倒がなければ同じ位のタイムでゴールできていただけに、その無念も分かるというもの。「走るのは十数年ぶり」という三選手の思わぬ健闘に、順番待ちの棋士にも一様に緊張が走りますが、測定は非情にも進んでいきます。

「全力で走るのは○年ぶり」という選手がほとんどだったが、
意外な健闘ぶりを見せた。

 こういった競技は、普段からスポーツをしている棋士が有利という印象がありますが、今回振るわなかったのは野球部。8秒台を出してしまった某選手は「僕は足が遅くて、内野安打が打てないんです」と一言。
最終組になり、いよいよあの棋士が登場。そう、重装備の金井選手です。注目するギャラリー。中村女流三段が笛を構えスタートの準備をした瞬間「ちょっと待って!」と金井選手。「これ預かってもらっていいですか」とおもむろにジャケットを脱ぎ始める金井選手に、思わず笑いが起こります。焼け石に水とも思える準備を終えた後、仕切り直しで今度こそスタート。好スタートを決めそのまま加速する金井選手。意外な速さにギャラリーからは驚きの声。最後で足がもつれたのか、倒れこむようにしてゴールとなりましたが、タイムは堂々の7秒81。選手内では下位の順位ですが「でも革靴でこれだからねえ」というギャラリーの声。そう、それを考慮すると、今回の勝者は金井選手だったと言っても良いのかもしれません。
 さて、全員走り終わってみたところの平均タイムは7秒5程度。こうしてみると「棋士は運動とは無縁の職業だが、運動神経が決して悪いわけではない」という結論となったようです。
ところで、そもそも何故こんな企画が成立したのでしょうか?実は、今回の企画は囲碁・将棋チャンネル公式インターネットサービスである「将棋プレミアム」と関東若手棋士団体「東竜門」のコラボ企画。若手棋士がいろいろなことにチャレンジして、それを映像として発信するというものです。この走力テストの模様も将棋プレミアムで配信していますので、ご興味がある方はご覧になってみて下さい。


*1 動画はコチラからご覧頂けます。※ご視聴には会員登録が必要です

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