tsuruno
#8 △つるの剛士 vs ▲市川さん 145手まで つるの●負け(小学館 将棋部棋譜再生
局中の解説(解説者 藤倉勇樹 四段)※解:解説者、井:井上ゆりな
解:居飛車対四間飛車の戦いですね。
井:はい。
解:これ、▲5七銀左型といって、急戦の構えなんですが。
解:今、角が上がった(▲9七角)ところなんですけど、ここまで(角が上がる前まで)は良くある将棋ですね。
解:ま、ほんとに何万、何十万とある将棋なんですけど。
解:ここで角上がった(▲9七角)のは珍しい手ですね。
解:えー、金が下の形(6八の金が6九にある)で(後手の4三の銀が3二にある)ですと、(▲9七角の手に対して)、飛車を逃げて(△4一飛)、銀が上がって(▲6六銀)、(後手が何かした後に)、角引いて(▲7一角)、ここ(2四)から角を使って、飛車先を破ろうという手はあるんですが。
解:この形はあまり見ない、めずらしい形ですね(図)。
井:自己流ですか?
解:そう、自己流。オリジナルの市川流。市川流端角。
井:おぉー。
解:これがどうでるかですね。
解:でこれ(図)、飛車取りなので、やっぱり角より飛車の方が大事ですから、これつるのさん逃げた方が良いですね。
解:で、ここ(4一)かここ(3二)以外だと、当然角を成られてしまう(▲3一角成)ので、一番普通なら、△3二飛と逃げる。
解:で、市川さんがこの時にどのような形を目指しているか、ちょっとわからないですね。
解:えーと、例えば一手何か(▲6六歩)やっていると、つるのさんから、逆にこう(△9五歩)、角を出た手を狙われて、▲同歩、△同香とやられると、角取りなので、角逃げて(▲8八角)、△9八歩とこのような展開になると市川さんがまずくなりますね。
解:なので、普通に指すのならば、こう角上がって(▲8六角)、この端攻めを受けておくのが普通ですね。
解:それか、飛車寄られてあんまり効果なかったら、戻っておいて(▲8八角)、またこっちから(先手側から中央より右側)銀を使って攻めていくか。
解:ちょっと(飛車)寄られた後の展開が難しいですね。
解:こう銀を上がって(▲4六銀)攻めようとすると、返って歩を突かれた時(△4五歩)に、角道ができるので、(4六の)銀取りと、この(9九)香取りの両取りがかかる。
解:これは、ちょっとここに寄られる(△3二飛)とうまくいかないような気がしますね。
井:ふふふ、どうですか今の感じだと?
解:今はまだいい勝負だと思いますね。
井:おぉー。良かった。
解:まー(図で)飛車引いて(△4一飛)やるか、いずれにしてもどちらも十分な構えですね。
解:ここからどうなるか。勝負は終盤ですから。
井:はい。がんばっていただきましょう。
局後の解説(解説者 藤倉勇樹 四段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(市川さん)
図1
図2
図3
図4

解:お二人、お疲れ様でした。
つ:お疲れ様でした。
つ:どうもありがとうございます。
つ:もう、上の空でございます。
観客:ハハハ……
つ:ほんとに、ね……。よろしくお願いします先生。
解:よろしくお願いします。
つ:どこが一番いけなかったんでしょう……
解:序盤は、相当うまく指していましたね。
解:これは振り飛車の理想型といわれてるくらい。
つ:いやー。そうですかね。
解:美濃囲いで囲えていて、飛車先が軽い型で。
つ:はい。
解:あとは、この飛車角をどう捌いていくかというところだったんですね。
つ:ですね、はい。
解:で、▲5五歩と仕掛けて来たところですね。
つ:ええ。
解:まー取れば(△5五同歩)銀が出てくる(▲同銀)と、まーそれが嫌だったと思うので、△6三金。
解:これはしょうがないですね。
解:で、▲5四歩と取ってきて、△同銀と取りたいんですけど、取ると角でやられてしまうので(▲4四角)。
つ:ですね。
解:金(△5四同金)はしょうがないですね。
つ:これが、ちょっと怖かったですね。どうしても。
解:角で迫っちゃうので。
解:で、▲5五歩と来たんですね。
解:これ、つるのさん引いた(△5三金)んですけど、これは恐れずに△6五金と。
つ:あっ上がる!
解:出てしまって、この(7六の)歩を取ろうと。
つ:なるほどー。
解:こうした方が良かったんではないかと思います。
解:取れば、王様にとってプレッシャーになりますから。
つ:はい。
解:(先手側から7六の歩を)取らせる訳にはいかないですよね。
解:で、取らせる訳にはいかないので、金上がる(▲7七金)。
つ:ほー。
解:と、やっぱりもう一回金を入った手が(△5六金)。
つ:おー、そっちまで行っちゃいますか。
解:この(7七の)金を相手にせずに、こっち(4筋5筋の金銀)を相手にする。
つ:ほほー。
解:で、通常金と銀の交換(△5六金の後〜△4六金、▲同歩となった場合)は損と言われているのですが。
解:この場合は、3五の歩を守っている銀を取ることによって、飛車が走れる(△3五飛)ようになるんですよ。
つ:なるほどねー。これ大きいですよね。
解:大きいですね。
解:で次、後手の手番だと、△3九銀と打つ手が普通にきびしいですよね。
つ:なるほど。
解:積極的に金を使った方が良かったのではないかと思いますね。
つ:なるほどね。
解:で、金が出ると(後手の囲いが)薄くなってしまうのですが、一回銀引けば(△5二銀)これで十分、囲いが3枚になりますから。
つ:あっ、この(4三の)銀を戻して。
つ:これで、金銀3枚ですね。
解:こうすれば十分堅いですから。
つ:はー、なるほどねー。
解:この(6八の)金がこう上がる(▲7七金)方が先手にとって痛いんですよね。(先手守りの金銀の)連携がなくなってしまうので。
つ:なるほど、これ、もうかなり守りが薄くなっているんですか。
解:薄くなってますね。連携が全部なくなっちゃう。
つ:はーはーはーはー、なるほど。ここがやっぱり大きな……。
解:大きなところでしたよね。
解:(図1から△6三金、▲5四歩、△同金、▲5五歩の時に)金引くの(△5三金)も、まあ普通の手ではあるんですけど、まあ上がる手はあったかなと。
つ:なるほど。
解:で、▲3七銀上と上がったんですよね。
つ:上がってきました。

図2

解:で、△6二飛と、これは?
つ:ふ。
解:どのような狙いが?
つ:もう秒読みに追われてですね、もう、なかったです、秒が。
解:あーなるほど。
つ:でもなんか指さなければいけないと。手がなかったので、まーほんとはこっち(△1二香)とかね、良かったんでしょうけど。
解:はい。
つ:もうしょうがないからここに(△6二飛)来ました。
解:そうですね。こうやってしまうと角が右に使えなくなっちゃうので。
つ:はい。
解:この場合、そうですね、覚えておきましょう。
解:わからない時は、香車上がりましょう(ここでは△1三香)。
つ:はい。
解:絶対あとで、取られる展開になる時に上がっていれば取られないですから。
つ:わからない時は香車を上げる!
解:はい。
つ:はい。
解:今日の教訓ですね。
つ:今日の教訓!
解:はい。
解:それか、こう歩を突いて(△8四歩)、懐を広げておくか。
つ:はい。
解:この手の方が良かったんではないかと。
つ:なるほどー。
解:で(図2から)、△6二飛と回って、こっから進めますと、▲5七銀、△8四歩、▲5六銀、△8三銀、▲4八銀、△3二飛。
解:△3二飛はいい手でしたよね。
解:▲3八飛、△7二金と。これで銀冠の完成ですね。
解:で、▲4六歩で市川さん、攻撃態勢を整えて。
つ:はい。銀がどんどん上がって来ましたからね。
解:そうですね。△6三金、▲4七銀上。

図3

つ:無駄な手がどんどん出ましたからね。
つ:ここで、金が上がってみたり(△5四金)、下がってみたり(△5三金、△6三金)繰り返してましたからね。
観客:ワハハハ。
解:そうですね。
解:で、ここでやっぱり、もう一回歩を打っちゃったんですね(△5四歩)。
つ:打っちゃったんですよ。これ。
解:で、▲5四同歩、△同金と進んで、戻った後の金が、また、こうなっちゃう(△5三金、△6三金と戻ったけれど、△5四金とまた出てしまって繰り返してしまった)という。
つ:なにしとんねん、ていうことですよね。
解:ちょっと突っ込まれちゃいますね。
解:なので、ここは歩を打たないで、この(5一の)角を使うにはどうすれば良いか。
つ:この角を使うにはどうすれば良いか。
つ:えー、ここを上げる(△6五歩)。
解:まあ、そうですね、それだとまだ、ちょっと直ぐには(5一角を)使えないので。
つ:ここか(△8五歩)。
解:そうです、ここを(8四)空けておくと。
つ:そこねー。
解:王様の逃げ道が広がった上に、ここら辺(▲8七歩近辺)にプレッシャーをかけられますよね。
解:さらに、角をここに上がることができるので(△8四角)、後の展開で(3八の)飛車がいなくなった時に、角を成る(△3九角成)
つ:手があると。
解:手があるんですよね。
つ:うーん。
解:他に、この地点(5七)に角を効かせられるとか。
つ:なるほどー。
解:これがね(△8五歩)、大きな手なんですよ、凄い。
つ:これは、大きいですねー。
解:はい、この型決めれば相当理想型ですから。
解:この後、△5四歩と打って、▲同歩、△同銀とやっていけば良かったのではないかなと。
つ:かー、なるほど。
解:これが理想型ですね。
解:これで、角出てきてくれるのなら(▲4四角)、もう構わず銀交換(△5五歩、▲同銀、△同銀)をして、どんどん(3二の)飛車を中央にやって、この(4九)割り打ちとかありますから。
つ:はい。
解:こうやれば良かったんじゃないかなと思いますね。
つ:なるほどねー。
つ:どうもねー、臆病なんですわねー、どっかでねー。
解:そうです、そうですね。
つ:あと、秒読みに慣れなきゃダメですね、これね、ひたすら。
解:そうですね。
つ:もう、考えてる余地が無いですからね、全くね。
解:(図3から、▲5四同歩、△同金、▲5五歩、△5三金、▲3六銀、△1五歩、▲同歩、△同香、▲同香、△同角、▲1八飛、△1四歩、▲1六歩、△5一角)

図4

解:これ、▲5四香があるので、△5一角より△4二角に退いた方が良かったですね。
つ:ここ(4二)でした。指した後に気が付きましたわ。
解:そうですね。
解:△5一角、▲4五歩、△6二飛。でも、一番マズかったのは、この△6二飛。
解:この△6二飛にこだわり過ぎて、ちょっと、これがマズい手だったかなと。
つ:ぶっちゃけバカですね、これは。
解:ちょっと、これはマズかったですね。そこまでは、ちょっと言えないんですけど。
つ:いつも優しい藤倉さんも、バカって言って下さい。
解:いやいやいや。
つ:いいですよ。
解:じゃあ、これはちょっとバカな手でしたね。
つ:ああーっ!!! 言われた!
観客:(爆笑)
つ:凄い喝が入りました、今!
解:入っちゃった、入っちゃいました。
つ:言っちゃいましたね、わははは、もう、先生も我慢できません!
解:我慢できませんでした、ちょっと。
つ:これは、もうバカでしたわ、はいはい。
解:これ、やっちゃったんで(△6二飛)。
解:▲4四歩、で、これまた、銀で取った方が(△同銀)、まだしも。まあ、香車打ち(▲5四香)があるんですけど、銀で取った方が(良かったのですが)。
解:金で取ったので(△4四金)。
つ:歩(▲4五歩)でね(やられちゃいました)。
解:ええ、歩で。
解:これが一番。
つ:一番?
解:バカな手でしたね。
つ:でしたね!
観客:(笑)
解:もお、容赦しませんね、先生もね。
解:はははは。
つ:これは、もうダメですもんね,歩で金取られちゃいましたからね、これね。
解:ええ、これは、ちょっと、出来れば……
解:ただ、ここも(3二の)飛車回んないで角上がっておけば(△7三角)、銀で取っておいて何でもない局面なんですよ(▲4四歩に△同銀)。
解:香車打ち(▲5四香)を未然に防ぐと。
つ:防げてるんですか。
解:で、その時に突いてあれば(△8五歩)、ここに出れるんで(△8四角)一石二鳥。
解:角成(△3九角成)の狙いが出来るので。
つ:はい。
解:この手(△8五歩)を今日は覚えておいて下さい。
つ:この手は大きいですね!
解:はい。
つ:8五歩!
解:8五歩。
つ:そして、困った時の香上がり! これですね!
解:はい。
つ:今日の教訓です!
つ:石川さん、どうでした!
客:嬉しいです。
観客:(爆笑)
つ:僕がこんなに凹んでいるのに、石川さん、それだけですか?
客:勝ってしまえば、全て嬉しいという言葉につきます。
つ:ですよねー、その気持ち、早く味わいたいな、アッハッハッハッハッハッハ!