tsuruno
#42 △つるの剛士 vs ▲豊田さん 65手まで つるの●負け(足立区綾瀬「東京武道館」棋譜再生
局中の解説(解説者 野月浩貴 七段)※解:解説者、児:児玉多恵子
解:現在の局面なんですけれども。
児:はい。
解:ここまでは互角ですね。
児:互角!
解:はい。お互いに工夫して戦っているんですけれども。
解:先手は、この(7筋の)一歩を取らせたというのは面白い作戦ですね。
児:ふーん。
解:だから、ここ(3四)に居た飛車がですね、一手(△7四飛)、二手(△7六飛)、三手(△7四飛)掛かっているんですね。
児:うーん。
解:この三手の分で駒組みを優位に持っていこうと。
解:この(5六の)銀が上まで来たのも、そういう意味ですし。
解:ですから、ここからの戦い方が非常に重要ですね。
児:はい。
解:特につるのさんにとって難しくなりそうなんですね。
解:やはり、銀の位置を見て頂くと分かるんですけど、(先手銀は)ここまで(▲5六銀)出ているのに対して(後手は△3二銀と)低い。
児:はい。
解:あと、(後手は)飛車がここ(7四)に居たままというのがありますので、この(3二の)銀をこの辺(3五)まで持って来て、飛車をこの辺(2四)まで持って来ると。
児:ふーん。
解:(その形まで)まだ、四手かかるので、その間に攻められないような形を取りつつ、銀を上まで持ってきたいという工夫が必要ですね。
児:そうですか。
解:ええ。で、先手としては今が理想系なので、いいタイミングで攻めると。
児:ふーん。
解:ただ、このままですと、この(7四の)飛車がいるので、この交換(▲8四歩、△同歩、▲同飛)ができないですし、あと、角道を開けたいんですけど、開けると(▲6五歩)、(角を)交換されて、飛車が成りこまれてしまうので、その辺をどう工夫するかと。
児:ふーん。
解:おもしろそうな戦いですね。
児:そうですか。つるのさんが勝つには、今おっしゃった感じで?
解:そうですね、ここら辺も大事なんですが、一番は、終盤で競り負けないことですね。
児:はい。
解:やはり、(先手の)玉形がしっかりしているので、これを崩すのは容易ではないですから。
児:ふーん。
解:どちらかというと、囲いだけ見るとこちら(後手)の方が薄いんですよ。
児:はい。
解:なので、終盤で競り負けないこと。
児:競り負けないこと!
解:一番難しいそうですけどね。
児:そうですよね、終盤弱いですからね。
解:そうですね。
局後の解説(解説者 野月浩貴 七段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(豊田さん)、児:児玉多恵子
図1
図2

つ:いやー敵討たれましたわ先生。
解:そうですね、やっぱり思ったより強かったですね。
つ:ズバッといかれましたね、これね。
解:ええ。
つ:ちょっとねー、馬の筋全然読んでなかったですねー。
解:あっ最後ね。
つ:あと、両取りね。
解:ええ。
客:はい。
つ:これ、どうなるのかなと思ったんですが。
解:激しい戦いにしてしまったのが良くなかったですね。
つ:うん、交換したのが良くなかったかな思ったんですけどね。
解:まだ駒組みの途中だったので、銀が上に行くまでは我慢した方が。
つ:そうでしたねー。ちょっと我慢できなかったですねー。
解:それにしても、歩を突いた手(43手目▲6四歩)は鋭かったですよね。
つ:あぁー、これはちょっと参りましたね。
解:ただその後ですね、つるのさんにチャンスが来てたんですよ。
つ:おおっ、そうですか。
解:あの、うまい辛抱をずっとしてまして。
つ:はい。
解:あの、一回桂を跳ねた手(54手目△3三桂)なんかもすごいいい手でしたし。
つ:あ、はい。これは前回のね、あの、いいイメージがまだあったんですけどね。
解:いいイメージで。そうかなと思ったんですけどね。

図1

解:で、銀を打った局面。
つ:はい。
解:ここから、次の手つるのさん。つるのさんじゃ、絶対指せないと思っていた手を指して。
つ:はい。
解:スゴイいい手を指したんですよ。
解:この銀を引いた(△7一銀)じゃないですか。
つ:はい。
解:これびっくりしました。
つ:あっびっくりしましたか。
解:はい。
つ:これちょっと成長しましたか。
解:プロ級の手。
つ:マジですか。
解:ほんとに。
つ:でもこの後、なんか金打たれて・・・。
解:まー狭いんでね。
解:いやー、ただこう引いた(△7一銀)のはいい手だったですね。
つ:なるほど。
解:これ、百点満点で言うと三百点くらい。
つ:おぅーすごい。完全に超えてますね。
解:そうですね。
解:それで、取ったんですね(▲6二銀成)。
解:これは、取り方、基本的に△同玉は無いんですよ。△同銀か△同金の二択なんですね。
つ:ええ。
解:で、より△同金の方がやや良いかなという感じがしたんですね。しっかりしてる。
解:まあただ、(本譜)△同銀でもそんなに悪くない。
つ:はい。
解:まあ、二つを比べると△同金が良かったかな。
つ:そうですか。
解:ただ銀引きが非常にいい手だったので。

図2

解:問題はここです。
つ:はいここでした。
解:金を打たれた(▲8二金)んですけど、これ逃げた(△6三玉)のが、百点満点中何点だと思います?
つ:80点。
解:ふっ、これマイナス二百点です。
児:アハハハ(遠くの方から笑い声)。
つ:アハハハハ(崩れる)。最悪だ。
解:最悪でした。これ。
つ:最悪です。
解:この局面(図2の直前)、互角に近いくらいにまで戻したんですよ。つるのさんが。
つ:あっ、そうなんですか。
解:逃げたんで、逃げて(△6三玉)取られて(▲6一龍)、これほとんど受けなし。
つ:はい。
解:で、桂跳んで(△6六桂)、馬入って(▲4一馬)詰んじゃう。
解:これ五手(詰)くらいですね。
つ:サッサッサッと行ってしまいましたね。
解:なので、マイナス。
つ:ですね、これはね。
つ:取れば良かったんですか。
解:そうです! これは、例えば(8二金が)歩とかなら別ですが、金じゃないですか。
解:これ取れば良かったんですよ(▲8二金に△同玉)。
解:で、取って(▲6一龍)。
つ:7一に金を打てば良かったのか(△7一金)。
解:そうです。これを打つと(龍が)逃げるしかないじゃないですか。
つ:あぁー。これは結構・・・。先手だ。
解:で、こう取ると(▲1一龍)、いつかこの(3三の)桂が居なくなった時に(7七の)馬で狙われてしまうので、取りづらいっていうのもありますし。
つ:あー、なるほど。
解:この辺(▲3一龍)に行ったとしても、これで桂を跳ねておけば(△6六桂)、まだ銀を持っていて、しかもさっきの状況よりもいいですよね。
つ:いいですね。
解:守りがしっかりしていて。
つ:確かに、言われてみれば。
解:で、逃げて(▲4八金寄)、同じように。
つ:銀を打ってね(△5一銀)。
解:これつるのさんの方が有望だったかもしれないですね。
つ:あ痛ぁーーー!
つ:この一手でもうガラッと変わってしまう。
解:そうなんですよ。取れるものは取る。
解:逃げたのがそうですね・・・。
つ:なんかやっぱりね、ほら、貫禄というかね威圧感がすごいじゃないですか。
解:ええ。
つ:あの金は、んっやばいなって思って逃げちゃったんですね。
解:そう、僕も解説していて、つるのさんは上に逃げ出すことを考えているんじゃないかっていう話ししてた時だったんで。
つ:アハハハハ。
解:いやーそういうことなのかと思って、ちょっと残念でしたね。
つ:残念でしたね。
つ:こっからはあっという間でしたもんね。
解:そうですね。もう、粘る隙がなかったですね。
つ:なかったですね。
つ:はい、ということでしたけども、うーん、さあ豊田くん。
客:はい。
つ:どうでしたか、弟くんの敵は討たれましたけれども。
客:はい、良かったです。とりあえず勝てて。
つ:アハハ。とりあえず勝てて。
客:途中、ヒヤヒヤしていたので。
客:ただ、金を取られる(▲8二金に対して△同玉の変化)のは考えてなかったんですけど、逃げられて、桂を跳ねないで(△6六桂としないで)出られたら(▲7四玉)、あぁーまずかったなとは思っていたんですけれど、ただ跳ねたので。
解:詰んじゃったと。
客:はい。
つ:入玉関係ね、なるほど。
解:でも強いですよね。
つ:鋭いですね。
解:燃えてましたしね。
つ:燃えてましたよ。
つ:もう、鼻息がここまで聞こえてきましたよ。
客:ハハハ。
つ:熱いものを感じましたけどね。
つ:いや、でもやっぱりね、お兄ちゃん強い!
解:強いですね。
つ:これからも将棋頑張ってほしいですけどねー。
つ:はい、ありがとうございました。
つ:やられたー。やっぱり中学生強かったー!