tsuruno
#36 △つるの剛士 vs ▲牧さん 91手まで つるの●負け(上尾市文化センター棋譜再生
局中の解説(解説者 松本佳介 五段)※解:解説者、井:井上ゆりな
 
井:なんか展開が早いみたいですが。
解:早いんですよね。ちょっと前のこの局面なんですけど(左図)
解:で、こういって(△7四飛)、(7六の)歩を狙ったんですけど、受けるにはこうでしょ(▲7八飛)。
解:ここで飛車が寄ったんですけども(△8四飛)、これ一本取ったって感じなんですよ。早くも。
井:えー。
解:えーと、この(8七の)歩を狙っているんですね。飛車がここ(2八)にいれば、金上がって(▲7八金)防げるんですけど、(7八の)飛車が邪魔しているんですよ。
解:ここ(8七)を防ぐにはこう(▲7七飛)なるんですよ。
井:はい。
解:そうすると、この(6六の)歩が浮いてしまうんですよ。これ取られてしまって(△6六角)、一歩損で、飛車も取られそうですから、これはちょっとまずい。専門的にはちょっとまずいですけれども。
井:はい。
解:今日はなんか絶好の勝つチャンスが来たような。
井:おー、ほんとですか。
解:ほんとに思いますよ。今日はチャンスですよ。
解:ここからちょっとまずいことをやると、しばらくまた連敗してしまうかもしれないですけど。うわさによると。
解:まー、ここで一本取ったという形ですね。
井:はい。
局後の解説(解説者 松本佳介 五段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(牧さん)
図1
図2
図3

つ:いやー、このTSRね、三十何回やっていますけど、先生やっちゃいました。
解:僕もあーと思いましたね。
つ:これはちょっと、先生。もう、序盤で飛車(竜)取られちゃうというとんでもない。
つ:うっかりというか。これも作戦?
客:うーん、そういう訳ではないんだけど、たまたまそうなったもんでね。
解:いや良い手でしたよね。
つ:いやー僕ね、自分の方しか見てなかったんですよ。実は角が効いているとは思っても見なかったんですよ。
解:実は、(33手目の▲6四歩は)竜の方を狙った手だったんですよね。僕も気付かなかったんですが、これ王様を狙ったんではなかったですよ。
つ:いや、僕もこんなに落ち込んだのは結構久々ですよ。
解:そうですね、そこまではうまく指していましたからね。
つ:うっかりもうっかり。
客:竜が逃げると、と金がね、でっかいですね。
つ:そうですよね。
解:では、ちょっといきますか。
つ:いきましょう。

図1

解:今、飛車が寄って一本取ったところなんですね。
解:(飛車が7七に上がると6六の歩が)取られてしまいますから、受けがありませんから、これ勝負手だったんですよね(▲6五歩)。
解:で、飛車が成って(△8七飛成)、こちらを(▲2二角成)。
つ:僕的には絶好調だったんですよ。
解:そう絶好調ですよね。
つ:ここは、申し訳ないですけど、よしよし! みたいな感じだったんですよね。
解:僕も勝ったんではないかなと思ったんですけどね。
解:で△2二同銀、銀が上がって(▲8八銀)、また取りますからね(△5七竜)。これはもう絶好調ですよね。
解:で、金を上がって(▲5八金)、もう一回王手をしたんですね(△9五角)。

図2

解:ここ(△9五角のところで)竜引く(△6六竜)となんか・・・。
つ:角打たれる(▲7七角)のが嫌だったんですよね。
解:こういう手もありますからね(▲7七角に対して、△7六竜、▲3三角成)。
つ:一回。
解:はい。一回王手をかけて、もちろん王手ですから、桂跳ねて(▲7七桂)。
つ:それから逃げたんですよね。
解:そうですよね(△6六竜)。
解:で、こっからこの竜を狙って、角打ったんですよね(▲7五角)。
つ:ここなんかね、5筋があったんですね。
解:そう、冷静になるとこうですよね(△5五竜)。
つ:そうでしたよね。
解:これ(5三の歩)取られないように、そしたら牧さんの方は困りましたよね。指し手が。
客:成れないもんね。
解:成れませんからね。まー、突くぐらいなんでしょうけど(▲9六歩)。
解:まー(▲9六歩の後、△8四角で以下)角交換くらいで終わっちゃうんでしょうけど。
客:角交換してからね。
解:これなら、リードをまだまだ保っていたでしょうけど。
解:いや、(▲7五角の手は)悪い手では無いでしょうけど、ちょっと難しくしましたね。(△7六竜に対して)馬が出来ました(▲5三角成)。
つ:これ(△4二金)、金もやっぱり中央に上げたほうが良かった(△5二金左)。
解:そうですね。ここ(中央)を厚くした方が良かったですね。
解:銀がいましたので、(馬が3一に)入れませんでしたからね。
解:まーこの手(△4二金)自体は悪い手ではないんですよね。馬を追って行きますから。
解:こう引いたんですね(▲5四馬)。

図3

つ:これです! 事件が!
解:これ微妙なんです。僕は取るもんだと思っていたんですよ(▲6三馬)。普通に歩が浮いていますから。
つ:ええ。
解:これ一回引いたというのが良い手ですよね。
つ:これ大事件! ここですよ!
解:ここですね。問題は。
つ:問題は。ここ(僕は)銀が上がったんですかね。守りに入ったんでしたっけ。
つ:あっ王様上がったんですね(△6二玉)。
解:まだ、この方がよかったですね(△6二玉のところで△7二銀)。
つ:そっかそっかそっか。
客:王様だから余計ですね。
解:でも(△6二玉とするのも)普通の手なんですよね。(△5二玉〜△8二玉に移動して、△7二銀と上がる手)とするのが普通の将棋ですから。
解:これは鋭かったですね(△6二玉の後、▲6四歩!)。
客:両取りですからね。
つ:これ全然気付かなかったんですよ。飛車(竜)取り。
解:僕も全然気付きませんでした。こうだね(△7二銀)とか言っていたんですよ。
つ:実際にですか?
解:実際に気付かなかったです。で、考えていたら、こっち(竜)取りだったんですよね。
解:困っている。
客:うん、そこでね。
つ:そうなんですよね。
客:成られても困っちゃうし。
解:取られる前に既に困っていたと。
つ:実はここで困っていたんですね。
解:そうなんです。
つ:だから、これ、王様より先に銀が上がっていれば(△6二玉のところで△7二銀、以下▲6四歩なら△7四竜)良かったんですよね。
つ:もう、こっから(竜を取られてから)は完全にいじめられてしまいましたからね。
解:そうですね。パニックですね。
つ:タダで飛車あげちゃいましたからね。
解:でも、これどうすると言われても、成らす(▲6三歩成)訳にはいかないですよね。たとえここで気付いたとしても。
つ:そうですね。
解:これちょっとひどいですね(竜を逃がして、▲6三歩成に△5一玉)。
つ:ひどいですね。どっちにしても駄目だったんですね。
解:そうですね。ここが(▲6四歩の場面で)決め手だったかもしれませんね。
つ:なるほど。
解:いや、この手(△7二銀)もいい手なんですよ。普通の手ですもん。
解:気付いて無いのかなあと思ったんですけど、さすがに電光石火で取られちゃいましたね。
解:(竜を)すぐに取るのかなと思ったんですよ。これ。でも、一回王手(▲6三歩成)というのが憎いところですね。
つ:ハハハハ
客:ハハハハ
解:歩もあげないように。
つ:ねー。
解:これ、しびれましたよ。
つ:まーここからはもう、視聴者の皆さんもお分かりの通りですよね。ここから進めなくてもですね。
解:無念の図ですね(飛車取られて)。
つ:無念の図です。もう、どうしようもない。
解:最初、改心の手順だったんですけどね。
つ:ここで、もう投了しようかと思ったんですけど、尺が足んないから、まだがんばらなければ駄目だと、番組的には。ハハハハ。
解:ハハハハ。辛いですね。
つ:辛かった。ここから進めるの辛かった。
解:普通は投げますよね。
つ:投げます。
解:いや(野球でいうと)10対0とか言っていたんですけど、これもっとありますよね。
つ:そうですね。無限大ですよね。
解:将棋ですと、なかなか逆転しないですもんね。こうなるとね。
つ:ほんとにきつかったですけどね。
解:せっかく作った竜を取られてしまいましたからね。
解:(しかも先手の駒は)これ、馬ですもんね。角ではないですからね。
解:こっから先は、いっくら力があっても盛り返せないですね。
つ:もう、人生の大先輩の、なんかこうね。
解:こっから、渋い手でしたよね(5九の玉を3八玉まで移動して守る)。
解:これはちょっと泣けます。
解:僕はここまですることないんじゃないかと(苦笑)。
つ:これはもうなかったことにしてください。僕的には。
解:そうですね、ここで歩突き(▲6四歩)が良い手だったということですよね。
つ:はい。そうですね。
解:これで、実は困ったと。
つ:これで困っていたと。
解:うっかりとはいえ、これで実は困っていたと。
解:えーそういう将棋ですね。
つ:はい、わかりました。
つ:いや牧さんありがとうございました。勉強になりました。