tsuruno
#22 ▲つるの剛士 vs △鋤柄さん 96手まで つるの●負け(日本経済新聞社 将棋会棋譜再生
局中の解説(解説者 豊川孝弘六段)※解:解説者、井:井上ゆりな
解:さーいきなり相振り飛車
井:はい。
解:つるのさんの一番相性の良い戦法ですけど、今▲3六飛車と注文をつけたところ。
解:鋤柄さん指がすべりましたね。
解:こう守れば(△4三金)堅かった。飛車寄られても(▲2六飛)、銀で(△3二銀)ここ(2三)守れるのでね。
井:はー。
解:ところがどっこい、(△4三金でなく)△3二飛と。
井:はい。
解:そして、▲2六飛で、これつるのさん一本取りました。
解:飛車浮けば(△3三飛)、▲4四角で優勢ですから。
井:はい。
解:ということで、鋤柄さん△4五歩と。
解:こっからね、鋤柄さん苦しくなってから力発揮するタイプなので。
井:はい。
解:で、▲2三飛成、そして△8八角成、▲同銀に、△2二飛と。
解:うん、一番がんばった手ですね。
解:ただ、形勢はつるのさん大成功。
解:これ(2二の飛)を取る手もありますけど、この方(本譜:▲3四竜)が良いですね。
井:はい。
解:つるのさん順調に指しています。
解:そして、△3二銀に、まーここで例えば、こうしておけば(▲3六竜)穏やかだったんですけど。竜引いて(▲3六竜)戻ってしまえば(▲7六竜)良いんです。
井:あ。
解:竜を作った方が得ですからね。
解:ですが、▲5八金。弱冠ちょっと危ない手なんですけど。
解:で、△4六歩に対して、▲同歩と取りたかったんですけど(そうせずに▲5五角)。
解:これはね、あんまり良い手ではなかった。
解:△3三角と。まー、この手がいい受けでしたよね。
解:で、▲3三同角成、△同銀に▲4五竜と。そして、△4七歩成。
解:さー、さっきゆりなちゃんに質問しましたね。
井:はい。
解:何で取ります?
井:はい。私は竜で取ると言ったんですけど。
解:強い! そう竜で取る子が良い子なんですけど。
解:要するに、竜で取りまして(▲4七竜)、△7八角と打たれても、▲9八角と受ける。これほっときますと▲6八金で、角取っちゃいますからね。成ってきても(△6九角成)、▲7九歩と打つ。これ絶対馬が取れるんです。
井:へー。
解:これ、この角(9八の角)は、一個突くだけ(8六歩)で、ヴォーと働きますから。
解:ですから、これ角打ち、とにかく角を打たれないように気を付けなければいけないんですけれども、この歩成り(△4七歩成)に対して、金で△4七同金と取っちゃたんです。
解:これはね、つるのさんちょっとピンチです。
解:すかさず、鋤柄さん、△7八角と。
解:今度、▲9八角打ってもちょっと。まあ、でも角打った方がいいんですよね。
解:なんにしても角(▲9八角)、で成ったら(△6九角成)、▲7九歩。あるいは、▲7五竜。で、この馬をいじめに行くんです。
解:ところがどっこい、桂跳ねました(▲7七桂)。まー強気な手ですけどね。
井:はい。
解:さー、ここで鋤柄さんの手番なんですけれども、形勢依り戻りましたよね。
解:つるのさんピンチ。
井:え。
解:まーでも勝負はこれからですよ。
解:この竜(4五の竜)がやっぱり強いですから、必見です。
井:はい。
局後の解説(解説者 豊川孝弘六段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(鋤柄さん)
図1
図2
図3

つ:いや、先生。飛車が2枚もいるのにもかかわらず、全然動いていなかったですね。これ。
解:うーん。あの、うまくやったんですけどね。

図1

解:今、飛車回ったんですね(▲3六飛)。
つ:はい。
解:で、鋤柄さんどうですか、飛車回りに対して。
客:こうでしたか(△3二銀)。
解:うーん、こうとか(△3二銀)、こうとか(△4三金)。(でも)寄ったんですね(△3二飛)。
客:寄っちゃって、受けが効かなくなっちゃった。
解:これ、うっかり(▲2六飛)。
客:こうじゃ駄目ですもんね(△3三飛)。
解:えー、角出られてしまいますからね(▲4四角)。
解:うん、だからつるのさんうまくやったんですよ。
つ:はい。
解:で、渾身の勝負手で△4五歩と突いて、飛車成って(▲2三飛成)、これさっきも解説したんですけど、まーつるのさん成功していますよね。
つ:はい。
解:うまかったです。▲3六飛から▲2六飛、うまい。ジャブが入りましたね。
解:で、(▲2三飛成の後)△8八角成、▲同銀と取って、で飛車ぶつけて(△2二飛)、うん、ここもねー、慌てず騒がずこれいい手でしたよ、じーっと引き下げたの(▲3四竜)。
つ:はい。
解:で、銀を上がって(△3二銀)。
解:でね。ここでこれ(▲5八金)、弱冠形にとらわれすぎているというか。
つ:ですね。
解:はい。
つ:ちょっと待っておけば良かったですね。
解:今だったらどうやります。
つ:ちょっと守りが、角打たれる場所が出来てしまったので。
解:今だったら、まあ、こんな感じで(▲3六竜)。
つ:あー。
解:また戻って(▲7六竜)、それからこれ(▲5八金)でいいわけですよね。
つ:なるほどねー。
解:実戦金上がって(▲5八金)、突いて(△4六歩)(図2)、これがね(▲5五角)たぶん、もしかしたら負けた原因かもしれないです。
つ:あーそうですか。
解:うん、まだ▲4六同歩でね、取っときたい。
つ:これなんか怖かったんですよね。
解:あー怖かったですか?
つ:うん、なんか怖かったです。
解:鋤柄さんどうしますか。歩取ったら。
客:うーん、特にないんですよねー。
つ:あっそうだったんだ。うっわー。
解:これ、実戦心理ですよね。
つ:ねー。
解:やっぱり優勢だということでね。
つ:はい。
客:ここじゃ(図2で▲同歩の後、△7八角を)ちょっと打てない感じですね。
解:打てないですか。
客:打ったらちょっと危なそうですよね。
解:そう、危ないんです。
解:これさっきもやったんですけれども、角打って(▲9八角)、成っても(△6九角成)、しつこいくらいやりますけど、歩打って(▲7九歩)。
つ:はーはーはー。
解:これ、もう馬が助からないです。
つ:あーほんとだ。
解:次、金寄って(▲5九金寄)取っちゃえば、でこの角(9八の角)は歩を突けば(▲8六歩)、バーと効いていますから。
つ:あーこれ痛いですね。
解:ですから、上がって突いたとき(図2)のこの角打ち(▲5五角)で、合わされて(△3三角)、だいぶ差が縮まっちゃったんですね。
つ:はははー。
解:でも、まだわかんない。
解:で、取って(▲3三同角)、取って(△同銀)、竜引いて(▲4五竜)、歩成って(△4七歩成)。

図3

解:さーここですね。ここ。
つ:金で取るか、竜でとるか迷ったんですけどね。
解:あっ迷いました?
つ:うーん、めちゃくちゃ迷いましたねー。
解:うん、じゃあ、今だったら。
つ:竜で取ります!
解:強いねー。
つ:ぶっハハハハ。
解:対局中に強いの見たかったですね。
解:あのね、▲同竜で取ってれば、以前としてこの角(△7八角)に対しては、こう受けて(▲9八角)、成った時に(△6九角成)、▲7九歩。
解:やっぱりこれ、▲5九金寄で、馬取れるんですね。
つ:なるほど。
解:そうそう。だから、本局は金が祟りましたね、形でね。(▲4七同金は)たしかに、近づいて、高美濃になってね、いい感じなんですけども。
つ:ちょっとね、形にとらわれましたね、又ね。
解:そうそう、本譜これ金で取ってしまった(▲4七同金)ので、角を打たれて(△7八角)、(仮に)今度受けても(▲9八角)、6七に成られてしまうんですよね(△6七角成)。
つ:あーなるほどねー。
解:ということで、この▲4七同金が悔やまれますね。
つ:悔やまれますね。これねー。
解:はい。うまく指しただけにね。
つ:ねー、最後また、ここの角(80手目の△5四角の角筋)忘れていましたからね。
解:いやーでもね、なかなかいいジャブでした序盤。
つ:そうですかー。
解:はい。
つ:はい。どうもありがとうございました。
客:こちらこそ。
つ:もう、日経新聞読み直してやり直します!
つ:ね! 将棋も「読む」ということで。
解:そうですね。
客:夕刊の王座戦をぜひ。
つ:ですね。はい。
つ:いやー、ほんとにドキドキする白熱した試合でしたよ。
つ:どうもありがとうございました。