tsuruno
#21 △つるの剛士 vs ▲橋本さん 101手まで つるの●負け(御茶の水談話室「GO」棋譜再生
局中の解説(解説者 豊川孝弘六段)※解:解説者、井:井上ゆりな
解:先手、橋本さんが居飛車棒銀戦法。後手、つるのさん、得意戦法ですね。四間飛車。
井:はい、四間飛車。
解:はい、大乱戦になっています。中盤の今、▲4五歩と突いたところですね。
解:で、ここで、つるのさんがかなり強気な手を指したんですね。
井:はい。
解:ここ(△8五歩)突いたんですよ。玉頭の歩。ですけれども、ここはね。こう取って(△4五同歩)見たかったところでもあるんですよ。
井:なんでですか。
解:やってみましょうか(△4五同歩)。
解:で、まあ、角成るんですね(▲1一角成)。成るんですけど、その時に、つるのさん、勉強しているねーっ、香車上がっているでしょ。
解:その手が活きているんです。こういうのを、カラ成りって言うんです。
井:カラ成り。
解:こう(1一に香車がある場合)だとカラ成りとは言わないんですね。香車取れるから。
解:実際、この場合は、カラ成り。
解:そして、角をぶつけて(△4四角)、で桂を取りまして(▲2一馬)、そして、香車を取って(△9九角成)。これお互い、角成ってますけど、どっちのほうが性能良いと思います?
井:つるのさん?
解:そう、それはなぜですか。
井:えーなんか、きっと、たぶん、はじっこにいるから。
解:そう、端っこにいるし、この馬の方が王様に近いでしょ。
井:あ、はい。
解:このほうが強力なんですね。こういう戦いもありました。ただこれは、専門的に見ると、この後、桂馬打たれて(▲5五桂)辛いかもしれません。
解:ということで戻りまして、それで、つるのさんは取らなかったんですね。△4五同歩と取らなかったんですね。
解:そこで、△8五歩と一番強い手でいったんですけれども、ちょっと、やや、クエスション。やや、疑問かなと。
井:はあ。
解:そして、▲3四歩。この取り込み、橋本さん、いい取り込みですね。
解:で、△同飛と取りました。そして、▲3五銀。対して、深く引く(△3一飛)ほうが良かったと思いますが△3二飛。で次の手、いい手でした、▲3三歩。
解:△同飛。これ、タタキの歩というんですけど、あじのタタキではないですよ。タタキの歩。
井:あ、はい。
解:そして、▲3四歩。これ連打ですね。そして、つるのさんが、△3二飛と引いて、中盤戦真っ只中。
解:今どちらが優勢だと思いますか? 感で。ゆりなの感で。
井:ゆりなの感で、つるのさん。
解:なるほどー!
井:違うんですか。
解:うん、ちょっとやや橋本さんの方が、うまくいっている感じですねー。
解:ただ、まだこれから、勝負はこれからです。
井:はい。
解:王様の形はつるのさんの方が全然堅いですから。対して、橋本さんの方は右側を制圧。このあと数手が楽しみですね。
井:はい。
局後の解説(解説者 豊川孝弘六段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(橋本さん)、井:井上
図1
図2
図3

つ:はい、先生。なんだかぼろぼろにやられちゃいましたけど。
解:いや、橋本さんお強いですね。
つ:お強いです。
客:そうでもないです。形勢が良かっただけです。
解:いやいや、棒銀でガンガンね。
客:ここが出たんで(48手目△8五歩)、これはいけるかなあと。
解:あ、いけるかなと!
客:感じがしましたね。
解:(局面進んで)今つるのさんが△2九飛成と取った局面なんですが(図1)。
つ:あっ、はい。
解:で、橋本さんがこれ(8五の歩)が出ている(8四の地点が空いている)から指せそう。
解:ここで、次の手どうやったか指してみてください。
客:これ(持ち駒の香)を考えていまして。
解:そうですね、これで王手したんですね。
解:▲8四香と打ったんです。で△7三玉と逃げたんです。

図2

解:さあ、ここクライマックスでしたね。
つ:クライマックスです。
解:これね、実戦はこう出たんですけど(▲5五銀)、こうやっておいた方(▲8一香成)がたぶん、よりいっそう安全でしたよね。
客:あー、なるほど。
解:でも、▲5五銀とやったんです。
解:さあ、つるのさんこの局面覚えてます?
つ:覚えてます!
解:ここチャンスボール日本。
つ:あっはいはい。ここ。
解:実戦はね、銀成らずといったんですけど(△4七銀不成)。
つ:あっはい。
解:ここはね、シンプルに行きたかったです。
つ:取って良かった。
解:そう、△5五同銀と取りまして、▲同角ですね。
つ:▲同角ですね。
解:そしてここでおいしいものが取れますよ。
つ:あー、角? 角?
解:(角ではなく)おいしいもの。大盤見づらいんですけど。
つ:あー、取れますねー。(8四の)香取れますね。
解:そうです。香取れるんです。△8四玉と。
つ:あっはいはい。
解:どうですか橋本さん、銀一枚だとなかなかね。
客:あっはい。
解:攻めづらいでしょ。仮に角引いたとしても(▲6六角)。
解:こう逃げられて(△7三玉)。
つ:はいはい。あー、これ香取っておけばねー。
解:そう、もう銀一枚しかないですから。
つ:なるほどー。
解:だからね、今回は橋本さんがうまく指していたので、つるのさんの一番のチャンスはここでしたよね。
つ:うーん。
解:ここ(図2)。
つ:これ!
解:これ△5五同銀と取って、▲同角、△8四玉とやるのが、唯一のチャンスだったです。
つ:あぁー。
解:実戦、こう行ったんですよね(△4七銀不成)。
つ:はい。
解:で、▲7五歩と突いたんですね。
つ:はいはい。
解:で、次の手良かったですよ。つるのさん。銀引いたのは良い手(△5二銀)。
つ:あっはい。
解:(以下)▲7四歩、△同玉、▲8一香成、でここでいったんですね、渾身の勝負手、
△7六桂と。そして、▲7五歩と。

図3

つ:はい。きました。
解:これ、どうもちょっとやっぱり辛かったですね。
解:で、△7五同玉に▲6六角と出られちゃいましたから。
つ:そうでしたよね。
解:これやっぱりね。
つ:さっきの銀取りですか。
解:そう、さっきの▲5五銀に対する。もう、ここは唯一の勝負どこでしたよね。
つ:なるほどねー。
解:どうでした棒銀に対して。
つ:僕ね、最近棒銀に対してのいろいろなアドバイスを受けまして。
解:えーえー。
つ:頭の中でごっちゃごちゃしているんですよ。
解:なるほど。
つ:もうちょっとシンプルにシンプルに考えればいいんですけど。
解:えーえー。
つ:ちょっとね最近考えすぎる感があるなーという。
解:いや、そんな感じがしました。迷っている感じがしましたよね。
解:ただ、橋本さん、今日の棒銀の具合はどうですか? まー将棋の調子も良かったですし。
客:まー、まあまあなんじゃないかなあ。
客:こういう欠陥が突けたから。
解:8四の空間ですね。
客:だからチャンスがあるかなあーというような気がしましたね。
解:はい。
客:ここんとこ(3筋4筋)が複雑だったから、角成りも出来るし、銀交換か角を取れるというのがありましたからね。
つ:ね。はい。
解:序盤がうまかったですね。相手がね。
つ:なんかね、ぼろぼろぼろぼろ、このへん(3筋4筋)やられちゃったんですよ。
解:序盤で失敗したのが大きかった。響きましたよね。
つ:そうですね。これ、もろに響いちゃったんで。
客:あとは、これがこうなっている(5一の金にヒモがついてない)から飛車交換はしたくなかったんですよ。これ弱いからね。
解:ええ。
客:これせっかく取った桂を打たなくちゃなんないからね。
客:ちょっと辛いかなと思ったけど、(8四が)開いていた為に、こうできたんですね。
つ:なるほどね。
解:でも、橋本さん大正生まれの将棋指し、強かったです。お見事でした。
つ:いや、ほんとにぼろ負けでした。ほんとにありがとうございました。
客:良かったなーと思います。
つ:どうもありがとうございました。
解:おみごとでした。