tsuruno
#20 △つるの剛士 vs ▲野中さん 107手まで つるの●負け(日本将棋連盟 館林支部 福島道場棋譜再生
局中の解説(解説者 武者野勝巳六段)※解:解説者、井:井上ゆりな
解:えーと、先手四間飛車、後手三間飛車、両方が飛車を振る珍しい形になりましたね。
井:はい。
解:えーと、ここでね、つるのさんが、飛車(△7四飛)をこのように回ったのがうまい手なんですよ。
井:はー。
解:えー、この(7六の)歩取っちゃうよ、というですね。
解:で、これを防いだんですけど(▲7八飛)、こうやってから△8四飛とやったらですね。ここの飛車成(△8七飛成)が防ぎにくくなってしまったんですね。
解:ここ(△7四飛)に止まった手がいい手でね。最初からこっち側(△8四飛)にいっていると、銀上がって(▲7八銀)守られるんですよ。それからこう(△7四飛)やると、こう銀(▲7七銀)が上がられて全部守られちゃうんですね。
解:ここ(△7四飛)一時停止して、(先手の)飛車角並ぶ形にして、ここ(△8四飛)に回ったのがうまい手筋ですね。
解:これで、銀が上がれなくなってしまったと。
解:で、飛車成りを防ぐ手は、飛車を浮く一手(▲7七飛)だということで、ちょっと悪い形になってしまった。
解:角道を飛車が埋めているという悪い形になりましたから、つるのさんが一ポイント取った形ですね。
井:はい。
解:で、さらにここで、△2五桂と跳ねだしました。
解:これで、角が急に利いてきたんですね。
解:で、これ(飛車角)を取られて飛車が成られてしまいますから、飛車角交換は仕方ないとして、銀を上がって(▲7八銀)。
解:で、つるのさん、歩がありますから、△3七歩と打ちました。
解:で、これは、またうまい手で▲同桂と取るしかないでしょ。
解:で、△同桂成と、桂馬を取りましたよね。
井:はい。
解:で、▲同銀と取ったんですね。ここでね、つるのさん決め手があったんですよ。
解:桂馬取ったでしょ。
井:はい。
解:△8五桂と打っていればね。これ飛車が逃げると(▲6七飛)、角がただで取れちゃうんですよ。
解:ですから、これではいけませんので、囲いを作る(△3八金)くらいでしょうけれども。
解:これを取ると(△7七桂成)ですね、飛車と桂馬の交換になるんですね。
解:これはすごい得なんですね。
解:だから、ここはね、桂馬を打っていれば、つるのさんがすごく優勢になったところなんでしょうけれども。
解:このチャンスは一回見送ってですね、今、△7七角成とやっていったんですね。
解:この手は桂馬打ちよりもっといいと思ったかもしれませんね。
井:はい。
解:さー、これは多分角で取ることになると思うんですけれども、バラバラの陣形に対して、まとまってますからね。
解:で、つるのさん、ここで決めをどのように考えるかというところですね。
井:はい。
局後の解説(解説者 武者野勝巳六段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(野中さん)、井:井上
図1
図2
図3

つ:先生ー。
解:おもしろい将棋でしたね。
つ:もう、胃に穴があくかと思いましたよ。
解:もう、一手ごとに終盤、ハラハラドキドキね。
つ:はい。
解:特にここで桂馬打って、詰めろと打ったわけでしょ。(図1)
解:これ(5八の馬)取れないですよね。銀打って(△3七銀)詰んでしまいますから。
つ:はい。
解:うん、うまい手だよね。
解:桂馬(合い駒として、▲2九桂)を使ってしまうと詰ませられませんからね。
つ:なるほど。
解:それで、思い切って王手(▲7五桂)とやったんですね。
解:で、逃げて(△9三玉)、(持ち駒が)金じゃないから詰まない。それでも、追いかけた(▲8二銀)
解:で、△同玉、そして、飛車をピッと(▲6二飛成)、△同金だと詰んじゃうだよね。
つ:はい。
解:恐ろしい手なんですよ。でも、△同銀と取ると、金打って(▲8三金)、下がって(△7一玉)、▲6三桂不成だと、詰まないんですよ。
つ:はーはーはー。
解:うん。これで詰まないでしょう。
解:うーん。これで投了かなと思ったら、ここから、野中さん、くそ粘りして。
つ:くそ粘りでしたね。
客:はっはっは。
解:いやー、▲3八金と受けたんですね。
つ:びっくりしましたよ。
解:こんなに、(相手に)駒を持たせてから受ける人初めて見ましたね。
つ:女の底力ですね。
解:で、あせったでしょ。
つ:いや、びっくりしましたよ。
つ:いままで、すごいかわいい方だったんですよ。試合が始まる前までは。
解:いままで、どんどん攻めていたのに、急に。
つ:いきなり守り始めたんですよ。
つ:いやー、これは、女って怖いと思いましたね。
解:いやいや、まー、いいじゃないですか。それで、銀打った(△3七銀)。
解:まー、受けても無駄だよと。受けても詰みなのに受けちゃうんだからね。
解:で、▲同銀。△同桂成。で、▲同玉でしょ。
つ:はい。
解:で、これで、こうなったわけですね。

図2

解:(持ち駒が)ずいぶんあるもんね。
つ:これがなんだか。
解:そして、銀を打った(△4八銀)。これ下に逃げる(▲2八玉)と金で詰むから。上に逃げた(▲2六玉)。
解:ここですよね。飛車、金、金。この対局の前に詰将棋たくさんやろうよと言ってたじゃないですか。
つ:はい、そうですよね。
解:これは、こう金を打って(△2五金)、で▲同玉だと、飛車(△2四飛)で、逃げる(▲3五玉)。
つ:はい、金で詰みだ。
解:ね。ここ(△3四金)に打つんだと、角で取られちゃうから、これで(△4四金)で詰みですね。
解:それから、(図2)から、△4八銀、▲2六玉、△2五金、取ってしまうとだめだから、逃げる(△1七玉)ことになる。
つ:はい。
解:えー、しかし、これでなおかつ追求して(△1六金)(※1)。
つ:はーはーはー。
解:で、それで、▲同玉で、やっぱり、飛車ていうのは威力がある(△1五飛)。
つ:あぁー。
解:寄る一手(▲2六玉)だから、これで、頭金でほら。ぴったり。
つ:あっ痛ー。
つ:あーいやー、これは、完全に。
解:これはちょっと、まー手数が(長いですけど)、(△1六金)とやった時(※1以下)この時、こっちに逃げると(▲2八玉)、こう金打たれて(△3七金)、また逃げて(▲2九玉)、飛車(△2八飛)とやると、手数としては、9手詰になるけど。
解:まー、ここ(図2から、△4八銀、▲2六玉)で金を打っていれば、内容としては、5手詰くらいの詰みでしたよね。
つ:なるほど。
解:金を打っておけば。(手番で)金を持ったと思ったら、飛車を持ったですよ。
解:で、おかしいなと思って、飛車(△2五飛)で詰むかなあと。
解:で、ここ(△2四飛)に打って、桂馬(▲2五桂)打たれて。

図3

解:いやー詰まなくなっちゃった。
つ:詰まなくなっちゃったんですよ。
解:詰まなくなっちゃった。しかし、ところがですよ。
解:ここで、冷静になる一回。
つ:おっ。
解:自分の玉、銀があると詰む?
つ:詰みません。
解:銀じゃ詰まないじゃないですか。
解:そうしたならば、これ、こう馬でもはいっておくと(△5九馬)。
つ:はい。
解:それで、次に、こう銀不成(△3七銀不成)で、こう(▲1七玉)で、(△2八銀)不成で、▲同玉、金打って(△3七金)詰むんですよ。
つ:あっ本当だ。
解:だから、自分の玉が詰まないんだから、そんなに焦らない。
つ:焦ることはなかった。
解:焦ることはなかった。ね、焦ることないのに、いやー参った詰まなくなっちゃったと思うから、(図3から)銀を捨てて(△3七銀、▲同玉)、こうやって(△5九馬)、こうやって(▲4八銀)、金打って(△5七金)なんかやっているから、指し切ってから、自分の玉が詰んじゃうと。
つ:ねー。もうー。
解:で、実は、飛車を打ってからでも、チャンスは一回だけあってね。この局面ね(図3)。
解:馬を逃げながら、こう(△5九馬)はいっておけば、ね。これで、まだ勝ちでしたよね。
つ:なるほどね。
つ:いやー、対局前まで、すごいマーメイドだったんですよ。
つ:で、対局中見たら、メデューサになってましたからね。
井:えー。
つ:目見た瞬間に、あぁーってなってましたから。
つ:完全に石になってしまいましたから。
解:やっぱり、上州空っ風とかかあ殿下の・・・。女性の将棋は強いですね。
つ:これは、やっぱり、かみさんに、ちゃんとサービスしなきゃだめだと思いました。家帰ってね。
つ:でも、楽しかったです。
客:いえ、こちらこそ。
つ:またー、かわいい声出して、そんなキャラじゃないじゃないですか。