tsuruno
#19 △つるの剛士 vs ▲田部井さん 77手まで つるの●負け(日本将棋連盟 館林支部 福島道場棋譜再生
局中の解説(解説者 武者野勝巳六段)※解:解説者、井:井上ゆりな
解:えっとね。この直前まではねー、プロの実戦でもあるような、振り飛車対居飛車の戦いだったんですけどね。
解:なんと、ここでね。つるのさんがねー。△4五同銀と取ったんですよね。
解:これが波乱の一手でしたよね。
井:はい。
解:これは、なんか勘違いがあっただと思うんですけど、▲同桂と取られて。
解:(飛車で)取ると(△同飛)、こう(▲同銀)ですから。
解:おそらく、これ(図から△4五同銀)、こう角交換(▲3三角成)してくるので、△同桂と取って、で、▲4五桂と取ると、△同桂で、桂馬がちょうど、うまく跳ねていけると思ったですよね。
解:ところが、これをですね。角を交換してくれずに(図から△4五同銀)、▲同桂取って。
解:たぶん、取られてしまって、一枚銀を損してしまったんですね。
解:で、えーと困ってしまったんですね。
解:でもね。ここでね、ちょっと考えまして、△6三金といって上がったですね。
解:これは、なかなか不思議な手で、これ桂で角を取ると(▲3三桂成)、△同桂(▲同角)で、代わりに銀を取って(△4六飛)、角を渡すけど銀を取るという狙いなんですね。
解:そこで、田部井さんの方が、桂馬ではなくて角の方で取りまして(▲3三角成)、△同桂と取ったここまでの局面ですね。
井:はい。
解:これで、桂馬が取れるというので、▲同桂と取りますと、ありがたく銀が取られてしまうし、でも、そのほかの手をやりますと、(△4五桂)と取られてしまいますからね。
解:だから、さっきまではね、つるのさん、ピンチだったんですけどね。
解:今は逆に先手居飛車の田部井さんのほうが、さあどういう手を指したら良いのか迷う局面になってきましたね。
井:はい。
解:ちょうど、中盤戦の始まりの、非常に興味深い局面でね。指し手を止めましてね。
解:さあ、いよいよこれから、桂馬で取ると(▲3三桂成)、(銀を)取られる(△4六飛)。さて、居飛車が次の一手どのように指すか注目ですね。
局後の解説(解説者 武者野勝巳六段)※解:解説者、つ:つるの、客:お客様(田部井さん)、井:井上
図1
図2

つ:武者野先生、なんか無茶苦茶にやられてしまいましたけどね。
解:惜しかったですね。
つ:いやーひどかったですね。
解:(図1)で△同銀で、2枚効いているのうっかりしていたのか、なんか。
つ:えーどこですか。
解:この直前ね(図1)、歩打たれた時に、当然逃げるもの(△5三銀)だと思っていたら、これ取っちゃった。
つ:取っちゃった。
井:取っちゃった。
解:これ、2枚(4六の銀と3七の桂)効いているから、▲同桂と取られて、銀一枚損してしまいましたよね。
つ:はい。
解:あれが、すごく痛いんですよ。
つ:あーぁー。
解:でも、そこで、△6三金という変化球やって、なかなか良い勝負になったんですよ。
解:で、角があるから▲3三角成、△同桂となったんですね。
解:これは、おもしろい局面になったので、一回中断してね。
解:えー、さあー次の手が面白いねということで見ていたんですね。
つ:はい。
解:まー、これ飛車が出る手(▲2四飛)もあったと思うのですが、角打つ(▲6六角)のも一つの考え方ですよね。
解:(▲6六角)の次、桂馬(△4五桂)取り返したでしょ。
解:で、これで、銀と桂の交換になりましたから、大して損はしていないと。
つ:おー。
解:で、(▲1一角成と)香車を取らずに、飛車取り(▲3三角成)とこうやったんですね。
つ:はい。

図2

解:さー、ここでね。一番の急所の局面ですよね。
つ:うーん。
解:もちろんね。平凡に逃げていれば(△6二飛)、(4五の桂が)取られてしまうから、これはいけないと。これはわかるんですけどね。
解:こうやったんですね(△5二金)。
つ:はい。
解:だけれども、取られて(▲4ニ馬)、(△同金)で、守りの金が、どんどん離れていってしまったんですね。
つ:いなくなっちゃいましたね。
解:これ、手数かけて一生懸命近寄ってきたい(6一金まで)ところだから、自分から、玉の囲いを崩してしまったところがいけなかったですね。
つ:はい。
解:ここは(図2)、飛車取りには、飛車取り△3七桂成と成る手で、これで取り合いなら不満がないから、たぶん▲同銀と取るんだと思いますけれども、すると、こう飛車がどーんと△4九飛成と。
つ:はい。
解:えー後は、▲4八飛とぶつける手が考えられるけれども、香車(△1九竜)も取れますしね。
つ:うん。
解:これで、角、桂、香を持っていますから。
つ:あららら。
解:えー。これこちら側(先手)が、飛車成っても(▲4一飛成)、これ、銀桂だけですから、なかなかいきませんから。
解:これ、このへん香車(△8四香)を打ったり、えー、このへんに桂馬(△8四桂)を打ったり、または、ここに桂打って角打ったり(△8六桂〜△8七角)とか、いろいろな狙い筋がありますからね。
つ:えー。
解:これは、相当の勝負。
解:これね、(図2で)次の手がですね、すごい楽しみだったんですけどね。
解:ここのところで、金上がった。
つ:はい。
解:こうやって、金がどんどん離れっていってしまったと。
つ:これがまずかったですね。
解:ええ。
つ:自分のバリアをどんどん離していってしまったんですね。
解:ええ。
つ:ひどかったですね。もう小学生達がずーっと、もう「それ駄目」、「うん違う」とか、ずうーとここで言っているですよ。
井:はっはっは。
解:そんなこと言っていたの。
つ:「あっ、一手詰んだ」とか、ものすごく気になるんですよ。これ。
解:ええ。
つ:えー、まあ、大正解だったんですけどね。
解:駄目って言うのが正解だと困っちゃうだけど。
つ:すごい困りましたね。
解:えー、ここですね(図2で▲3三角成とする手で)、香車(▲1一角成)取る手もあったと思うんだけど、それを取らずに、角成った手がですね(▲3三角成)。結果としては、これ(△3七桂成)やられずにね。
解:やられるのなら、香車取っていたほうが良かったからね。
解:でも、ここで金上がって(△5二金)くれたからね。角成った手が大正解になってしまったと。
つ:なるほど。
解:ということですね。
つ:いやー、田部井さん、これ参りましたねこれ。
客:いやー。
つ:田部井さんの若さに。
客:いやーそんな。
つ:フレッシュなパワーに。
解:どんどん攻めていってね。
つ:きましたね。これ。
解:なんか、びっくりして、圧倒されて。もともと(図1で△4五同銀、▲同桂の後)、金が上がっていなければね(△6三金)。飛車取りを防ぐ必要がなかった。
つ:そうですよね。本当に。
解:えーと、あの時に上がった手は良い手なんですが、結果としては、それが悪い手悪い手になってしまったんですね。
解:ということで、指す手指す手が全部、裏目に出てしまったかなあと。
つ:でしたかね。
解:最後の勝負手(△3七桂成)を逃したのが惜しかった。こうやっていれば、相当いい勝負。
つ:ちょっと考えたんですけどね。なんか怖くなってしまって。